新 寝たり起きたりすわったり

元々は『猪名川タイムズ』サイトに連載してたエッセイを『はてなダイアリー』で継ぎ、『はてなブログ』に移行させた間賀凜のエッセイ。タイトルはサトウハチロー先生のエッセイ『見たり聞いたり試したり』のパロディ。

第二回 ロボットについて考えてみた (2012年7月23日月曜日)


先週の水曜日の7月18日に新宿歌舞伎町にロボットレストランが開店したと、あるメルマガから知り、早速、ネットを使ってこの店について調べていた。

というのも、今まで、いくつかロボットレストランというのがあり、私の記憶では私のふるさと大阪府門真市のMというレストランに1980年頃に、アメリカのSF映画スターウォーズ』に登場する分析ロボットR2-D2に激似の機体が配膳をしてくれるロボットレストランが開店して、一時は人気を集め、各テレビ局の取材と、朝日放送ラジオのレポートが来ていたのだが、2年後には飽きられ、三年後には修理費がかかるなどの諸事情から稼動しなくなって看板と化し、7年後には店頭から姿を消していた。

私の実家近くの同店は現在も営業しているが、ロボットは無く、購入費用は当時300万円ほどだと聞いたことがある。そして、メンテ費用も購入金ぐらいなので、看板になったとも聞いたことがある。

もちろん、小学生だった私も当時、飲食関係の仕事に就いていた父親と向学のために行き、店主たちと顔見知りの父が、店の人達と何気ない日常の会話をしていたのと、私は「『宇宙戦艦ヤマト』のアナライザーみたいに話してくれるものだろう」と期待して、ロボットに話しかけると、店の人に「ゴメンネ…この子(ロボット)は話せないんよ〜」と言われてたいそうガッカリした事を激しく覚えている。

ただ

「いらっしゃいませ!!」

「お待ちどうさまでした!!」

「ありがとうございました」

とか、あらかじめICかテープに録音されていた言葉は話す…。

モデルは明らかにR2-D2なので、正面にオレンジ色のネオンディスプレイと、小さなモニター画面(なにも映らなかったはず)が胴体に設置されていたと思う。

で、私にはMでの幼い日の記憶が痛烈に残っているので、早速気になった私は記事に飛び、貼ってあった写真を見てみると、どう見てもマネキンにしか見えなかった。

次に動画のリンクが貼ってあったので飛んで見ると、左右に顔を動かすだけであり、目も少し動くようだが、上半身だけ人間の姿形をしていて、座った形で下半身には、座席があり、それに座ってコンパニオンがロボットを操縦すると書いてある。

ホームページサイトの説明では、ロボットは一台、前出の配膳ロボットの10倍の3000万円!!!。

これが少なくとも3〜5体はある様だから額面通りに受け取れば1億5000万円ロボットだけに投資したのだろう。で、開店総工費も掲載されていてチラシには『約100億円』というpop文字が踊っている。

子供の頃の記憶から30有余年、どのぐら進歩したんだろうと思いながらサイトの動画を見ると『巨大美女ロボットが歩く』…って、エ…歩くだけでっか??。

「おお、たくさんのセクサロイド(性的対象のサイボーグ)がたくさん踊ったり楽器を演奏しているぞ!!!!!」

そんな訳はなく、同店の出演者兼従業員のお姉さんだちであり、よく見るとここはレストランとうたっているものの、ショーパブなんだろうと思った。

で、肝心のロボットは前出のロボット店員と同じ役割を担っているだけであり、本当にお店がアピールしたいのはショーなんだろうが、こうしてアピールする商魂のたくましさには脱帽してしまう。

はっきり言って、コンセプトが無茶苦茶ですが、この無茶さ加減に笑えるし、接待とかでならば行ってみたいと思う。

で、ロボットの動画を見ると、まず頭に浮かんだのは、東洋初のロボットとして名高い、生物学者西村真琴博士(1883-1956 二代目『水戸黄門』俳優の西村晃の父)が1928=昭和3年に大阪で製作した『蒸気式稼働ロボットの学天則(がくてんそく)』を思い出した。

学天則は目を閉じて瞑想するし字も書くが歩くことは出来ない。

実際に大阪市立科学館に鎮座している学天則の動きを見た時、最近の復元で電気仕掛け、コンピューター制御、シリンダー稼働に改造されたとはいえ、昭和初期にこの様なロボットが存在していた事実に驚き、頭の中は当時に飛んでいたので驚いた。確かに現代のロボット研究とは隔世の感があるのは当たり前なんだが。

てな訳で、学天則以来84年、私がロボット店員に接して34年、で今年…なにも日本のロボットの事は進歩していない印象を持ってしまった。

まあ、ホンダとか東大阪の工場や、ロボットラジコンを発売している各企業、世界屈指のアンドロイド研究製作で知られる大阪大学石黒浩教授の研究とかは別にしてという前提で話している。

私たちは生まれた頃からロボットを常に身近に感じて生きてきたと思う。大阪万博フジパン館のロボットや、ロボットのおもちゃ、特撮アニメなどなど、ロボット、サイボーグと聴くとどことなくワクワクしてしまう。

近年、兵庫県神戸市長田区の地元有志が横山光輝の漫画作品の『鉄人28号』に登場する実物大の鉄人を製作し『町興し』の願いを込めてJR長田駅前広場に設置したり、フジテレビが中心となり『機動戦士ガンダム』の実物大モビルスーツを製作して展示して話題になったが、いずれのニュースを聴いた時に「どうせならば、実際に動く様に作ればいいのに…」と感動と落胆が五分五分だったながら、モビルスーツの場合、実際に試作するといくら費用が掛かるかを試算した専門家(工学士)がいたのはなんとなく嬉しかった。

映像的には、CGの格段の技術発展のおかげで、映像的(仮想現実)にはリアルなロボットや恐竜が登場したりして我々の目を楽しませてくれる事になった。

「3.11以降、超人間やサイボーグがいてくれたらなあ…」

と多々考える場面があった。

最初のテーマであった、『新宿ロボットレストラン』とは一番遠い話題になってしまったのだが、結局、なんだかわからなくなってきた。

5体の美人ロボット姉さんも数年後廃棄とかならずに、一日も長いこの『ロボットレストラン』の営業を祈らずにはいられない。

(了)

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『石黒研究室』 (PCサイト)
http://top.irl.sys.es.osaka-u.ac.jp/home

『歌舞伎町さくら通り ロボットレストラン』 (PCサイト)
http://www.shinjuku-robot.com/pc/top/ 

学天則』 (Wikipedia)
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%AD%B8%E5%A4%A9%E5%89%87