新 寝たり起きたりすわったり

元々は『猪名川タイムズ』サイトに連載してたエッセイを『はてなダイアリー』で継ぎ、『はてなブログ』に移行させた間賀凜のエッセイ。タイトルはサトウハチロー先生のエッセイ『見たり聞いたり試したり』のパロディ。

第23回 先程見掛けた不思議な夢(2023年12月15日 金曜日)

つい先程、大変不思議な夢を見た。

 

たまたま、私が数年前から裏方として携わってる音楽イベント『枚方宿ジャズストリートの会議(本当は呼ばれない。毎週通えない。方は近くて遠い)』かなにか(夢だけど、枚方に用事で行くことはこの数年来、このことだけなので)で、旧京街道沿いをチャリ🚲で南西の家(大阪市門真市方面)に向かって、今、着てる作業着(普段着・兼寝巻き)のまま向かっていたらば、街道沿いの豪邸の葬儀告別式のバラシをやってる有名葬儀社(名称不明)の一団にすれ違う。

 

最近、トマホーク兄貴(趣味友達にして葬儀師時代の兄弟子)の会社『Tホール』(大阪府守口市/大阪市旭区)も軌道に乗り『準社員(バイト)』に抜擢されたが、軌道に乗ってきたせいか、今年の秋口に行って以来は、とんと、ご無沙汰だし、これまた趣味友でもある11歳年下の兄弟子(社長)と11歳年下の弟弟子(常務、2人は高校の同級生)が運営する古巣の『N社』(大正三年創業)も、実家と家の往復で週に2~3度、真横を通るが、忙しいので遊びに行けてない事が左右したのか、そういう場面に出くわした。

 

で、何かわからないままに、あれよあれよと、夢の中に出てきた老舗葬儀屋の作業着に似た服を着てたので「新人!何を、ボサっとしとんねん!早く動け!」と言われて、20年近くブランクあるのに、撤収を手伝ってて、そつなくこなしてどこからともなく「素人やと聞いてたけど、よく動けてるやん!」と口々に話す葬儀屋社員たちの声が聞こえる。

 

恐らく、そう遠くない枚方斎場(関西外大に隣接している古墳跡の丘陵地にある)にお客様を焼き(火葬)に行ってる短時間で『精進落とし』と『初七日法要』をする。今はこの形態が私が住む地域では主流。

 

親族や縁深い会葬客の方々が『精進落とし』を1度にするのは、遠方から来てる会葬客もいるためで『骨(コツ)あげ(火葬したあとの遺骨を拾う事)』と『初七日法要』もするので、この作業が必要となる。

 

で、別に新人の時みたく「アホ!ボケ!カス!うんこちゃん!イ◎ポ野郎!親しみやすい気配を消せ!」などの罵倒も体罰もなく、自分でも長年のブランクがあるのにサクサクと撤収作業をしていたので驚いた。

 

数名の社員さんと黙々と作業してて「自分(私の事)、どっかの葬儀屋おったんか?」と言われるが、早く帰宅したいので「昔、美術大道具のアルバイトしてました」と答えた。

 

というのも『N社』時代の私の恩師に『元雨上がり決死隊』の宮迫さんの舅(つまり『宮迫の嫁』の実父が私の先生の1人)で、彼の洒脱でダンディーなところから私淑したのだが、私の嘉門さんのボーヤ時代の話を興味深く聴いて下さったり「宮ちゃんより間賀ちゃんのが面白い!」と言ってくれたのは遠い思い出だった。

 

これ、どこの会社入っても、この部分を面白がられてたが、最近ではめんどくさいのであまり、自分から話さなくなってる。

 

作業中盤になって本当は1万円はくれるけど、私はあくまで『モグリ』の『なんちゃって葬儀師』でお金はいらないので、幕の内弁当と、傍らのなぜかタイの尾頭付きがあったのでそれをギャラ代わりに頂いたが、『タイの尾頭付き』が精進落としと無縁なはずの料理が出てたのは、ここのお客様は生前、ご遺族とか周囲の方々に、父の後妻(生前は嘘つきで口はうまかったが、没時は長年帰依していたインチキ宗教にも見放されてた難儀で不憫な人物)みたく忌み嫌われてた『鬼っ子』だったのがうかがい知れる。

 

それを頬張っていたが、『受け』と呼ばれる担当者から電話があり、『あと20分程度で式場に戻る』と連絡が入り、慌てている時に…目が覚めた。

 

私は正直言うと、どの生業も、どの修行も中途半端の未完成だと思う。

 

そういう戒めの意味で、こういう夢を見てしまったのかもしれない…と言うよりも、この10年ぐらい、年に数回しか夢を見なくなった。

 

今夜、大阪は雨が降ってる。

 

多くの魂が宗教にも拠るが『涙雨』。

 

母が、母の父が、父の母が…小さい時や青年期に深くお世話になった方々が…飯塚銀次が…などなど。少なくとも私の身近な人が亡くなった夜は例外無く多少の差はあるがあらかた雨降りだった。

 

生まれた時から亡くなるまで、大勢の人々の助けを借りて生きて来て、人によっての長短はあるが、その今生との別れを惜しむ人々の涙雨なのだ、と、私は葬儀という尊い仕事に携わってからの21年、そう考えて、人々を送り瞑目しながら考える様になった。

 

合掌…礼拝…。

 

(2023/12/15 金曜日 04:04:06記)